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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏




「………ん……」

「優菜ちゃん?目覚めた?」

「……あれぇ?私……」


目が覚めると、保健室のベッドの上にいて北原先生がベッドの横に来てくれた。


「だいぶ顔色良くなったね…貧血で倒れたのよ」

「え!?」

「さっきまで雄二郎いたのにどこ行ったんだか…全く!」

「…ここに鴨宮君いたんですか?」

「優菜ちゃんの事ここまで運んできてからしばらく着いてたんだけど、優菜ちゃんの鞄取りに行って戻って来たらいなくなってて戻って来ないのよ!もう!優菜ちゃんとゆっくり過ごせるの今日くらいしかないのに何してるんだか…」

「今日くらい?」

「明日卒業式の後、夜の便で日本発つじゃない?明日はバタバタしそうだし、そしたらもう今日しか…」


フランス…

明日日本を発つ…

鴨宮君からは何も聞かされていない言葉ばかりだった。

はっきりした内容はまだわからないけど…

鴨宮君が遠くに行ってしまう事だけは明確だった。


私は北原先生が持って来てくれた鞄からケータイを取り出そうとした。

あ…ケータイ机の中だ…

「あの!教室行ってきます!」

「あら!やだ!ごめんね!机の中見てなかったわ!私取ってくるから優菜ちゃんはここで…優菜ちゃん!そんな急に走ったらダメよ!」

私は保健室を飛び出して、教室に走った。



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