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無垢な彼女
第8章 甘美な彼氏
教室に着くと、教室の中にはもう誰もいなくて…
私の机の上にポツンとピンクの紙袋が置いてあった。
すぐ目に付く机の上にあるって事はおそらく北原先生が鞄を取りに来た時にはなかったものだ…
紙袋の中身を取り出すと、少し大きめの箱?
ケーキ?
箱を開けると、中には可愛いくデコレーションされたチョコレートケーキが入っていた。
ハートのプレートが乗っていて、そこには
“Dear 優菜”
という文字が書かれていた。
鴨宮君…
まだ近くにいるかもしれない!
私は教室の窓に走って、外を確認すると校門に向かっている鴨宮君の後ろ姿が見えた。
急いで窓を開ける。
「雄君ッ!!待ってッ!!」
今まで出したことのなくらい大きな声で鴨宮君を呼んだ。
鴨宮君は気付いてくれて、振り向いた。
戻って来てくれない…
ここで行かないと後悔する。
幸い教室は1階。
少しだけ高いけど窓から外に飛び降りられる。
私は机の上に乗って窓のところに乗ることが出来た。
あれ……1階なのに結構高い…。
こんな所から飛び降りた事ないよぉ…
窓枠に掴まりながら足を地面に向かって伸ばす。
ツルッ
「キャッ!」
手が滑ってしまった。
「優菜ッ!」
…痛く……ない。
私はしっかりと鴨宮君に受け止められていた。
「あ……ごめッ…触っちゃ駄目なんだよねッ…」
急いで鴨宮君から離れようとすると、グイッと引き寄せられて力強く抱き締められる。
「………触ったら………離したくなくなるんだよ………」
「……ふぅッ……」
涙が溢れて止まらない…私は必死で鴨宮君に抱き付いた。