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カクテル好きの男たち
第7章 百合の花

「あの…マスターはいつ頃復帰しますか?」

カクテルを注文するよりも
マスターの事が気がかりで
美智子はカウンターの女に尋ねた。

「復帰は…いつになるか…
もしかしたらこのまま
リタイアするかもしれないわ」

そう言ってカウンターの中の珠代は
寂しそうな顔をした。

「まあ…そんなんですか…」

美智子はショックだった。
マスターに遊んでもらおうと
バッグの中に大人の玩具を忍び込ませて
いそいそとこの店にやってきたというのに。

そんな美智子の表情をみながら
珠代はシェーカーを振った。

そして、しょげかえっている美智子の前に
一杯のカクテルを差し出した。

「これは?」

「カイピロスカというカクテルです。
これは、ブラジルの有名なカクテル「カイピリーニャ」のウォッカ版なんですよ。
ウォッカにライム、砂糖を加えて、
クラッシュアイスでキンキンに冷えてます。
カクテル言葉は『明日への期待』です。
ずいぶん、お疲れのようなので、
明日への景気付けにお店からのサービスです」

「まあ!ずいぶんと美味しそうだわ」

美智子は躊躇いもなく、それを飲み干した。

「あ、お客様…そのような飲み方は…」

口当たりが良いとはいえ
ウォッカなのだ、アルコール度数はかなり高い。


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