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第8章 暗闇の中…一筋の安寧　2

―その日の深夜

エレンは昨日と同じように膝を抱えてベッドに座っていた。
さっきまで書物を読んではいたが、まるで頭に入ってこなかった。
あの人はうなされずに、ちゃんと寝れているだろうか…。

「あーっ……」

そのまま前のめりになってベッドにバフンと全身で沈む。
頬に触れていた手の感覚を思い出す…
抱きしめていた時の腕の感覚を思い出す…
胸を熱い何かで鷲掴みにされている気分だ。
シーツをギュウと掴んだ右手を見つめながら色々な考えが巡る。

昨日言えなかった事を伝えたい。
いやそれよりも、以前から心の奥底で考えていた事を
どうしても伝えたくなってしまった。
でもまた昨日のようにあの人がうなされていたら…？
それとも疲れてもう寝ているかもしれない。


ただ、今分かるのはここで悩んでいても何一つ解決しない事。
ガバっと勢いよくベットから起き上がり靴を履いてランプに火を灯す。
そしてエレンは静かにリヴァイの部屋に向かって歩み出した。