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地獄視
第2章 はちあわせ
俺はハイボールと唐揚げとお姉さんの笑顔があれば
生きてゆける!
またぁ〜真二さんはお上手なんだから〜
彼女さんに怒られるわよ。ふふ
いないよ。そんなの。

撮るよー!3-2-1ポチ!
慶子は同僚と写真を撮っていた。
私さぁ、写真ってどうも苦手なのよね。
写したばかりの写真をスマホで見た。
うーむ。やっぱ…死神が。勢揃いじゃない。
一体何人と撮影してんだか。
慶子ぉーちょっと聞いてくれる?
同僚の志保は、半分泣き顔で抱きついてきた。
何ぃ何ぃ?込み入った話し?
彼氏がね。彼氏が…
分かった…分かったから!
その辺で飲みながら話そうよ。

いらっしゃいま…
ああッー!
店員が慶子たちに声をかけたと同時に
その言葉を遮ぎるように叫んだのは…
入り口正面に座っていた桐生たちとはちあわせになった。
あ…桐生。
志保、店変えようか
ちょっと待てよ!
何で逃げんだよ。
この間はすみませんでした。
ちょっと話そうぜ。
おい、桐生。どこ行くんだよ〜
ちょっと待っててくれるか?
しゃ〜ねぇな。あ、彼女、あいつら待つ間、一緒に飲もうよ。
慶子さ〜ん。私この人と飲んでますね〜
外出ようか?
…はい。
で?どうした?
はぁ…どうもしませんけど。
おまえおかしいぜ。態度がよ。
私…ちっともおかしくありませんよ。
あなたといると、いつもの自分になれるんですよ。
じゃあいいじゃねぇかよ。
よくありません。
だって…あなたはオーナーの彼氏さんじゃないですか。
だから?おまえさっきから何言ってんだ。
俺が聞いてんのはなぜ仕事をおろそかにするんだって話し。
おまえまさか…俺が好きなのか?
桐生は顔を屈めて慶子を覗きこんだ。
だってよ。周り見てみ?
慶子たちは歩きながら話していていつのまにか居酒屋から少し離れた場所に来ていた。
慶子は顔を赤らめた。
あんたも意外と大胆なんだな。
な、な、な、何言ってんのよ!バカ
ちょっとは考えたらわかることだろ?
繁華街から脇道に外れたらホテル街だって。
ほれ、こっちおいで。
ドキッ!
慶子は手を引かれて中に入っていかれた。
ちょ…ちょっと!バカにしないで!
私そんな軽い女じゃありません!
桐生は慶子の話しもまともに聞かずにズカズカと中に踏み込んでいった。
こんなとこにいるところを誰かに見られたらどうするんです?
処女じゃあるめーし。
ほ…っとに失礼な男なんだから。

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