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混沌の館
第14章 決断
 結局、はっきりした答えを見いだせないまま、私は千夏に誤解だと釈明のメールを送った。

 今直ぐにどちらかを失う事は出来なかった。千夏に恋心を抱きながらキャサリンで性欲を満たす。現状は、私にとって都合が良かった。


 千夏は納得してくれた様で、その後も彼女とのメールは続けられた。キャサリンは、相変わらず『愛してる』『会いたい』ばかりで、私にとっては面倒な女であり続けた。


 それでも、キャサリンは現実の彼女だ。相応の関係を持たなくてはいけないし、私の性欲も定期的に発生する。

 ようやくキャサリンと3回目のデートが実現したのは、前回から1ヶ月経っていた。来週はGW、その日を逃すと2週間後になる。これ以上は間を空けられないというタイミングだった。


 土曜日の朝遅い時間、私はキャサリンの最寄り駅で待っていた。今回は彼女の車でホテルに移動しようという事になっていた。私の寮からキャサリンの自宅を経てホテルまでは車で2時間ほどかかる。激しいセックスをした後に車を運転するのは辛い。それで、電車で移動してキャサリンの車でホテルへの往復を、という事になった。



 駅のロータリーにキャサリンの軽自動車が入ってきたのは、私が到着して間もなくの事だった。


 空いているスペースに止まるのを待って、私は車まで歩み寄った。窓越しに合図し、助手席のドアを開け乗り込む。


「おはよう。車ださせちゃって、ごめんね」

「おはよう。ううん、やっと会えて嬉しい」

「道は分かる?行こうか」




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