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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
<side 透也>

「早退? あの元気な美空ちゃんが?」

「はい。吐き気が治まらないみたいで……」

美空の指導係の柘植さんが部長にそう告げる。

美空は部署内でも可愛がられてるから、皆、仕事の手を止めて部長と柘植さんを見つめていた。


「……吐き気……」

部署内のあちこちでボソッと呟く声が聞こえてる。

そして、

「……⁉︎……」

一斉に俺に向けられる視線。


男性社員からは、憐れむような、何か言いたげな視線。

女性社員からは、もっと厳しい感じの視線。


(─────何だよ?)

訝しげな視線で皆の視線に応えていると、柘植さんが俺の所へと歩いてきた。

「透也先輩、美空を家まで送ってもらえますか?」

「あ、ああ…」


部長から社用車使用の許可が出て、俺は皆の視線を受けながら立ち上がる。

「……透也……男として、キチンと責任取れよ?」

既婚の男性社員 久我さんからのそんな言葉に首を傾げながら、俺は医務室へと向かった。


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