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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
柘植さんに渡された美空の荷物を持って、医務室へと辿り着いた。

ノックの音に返ってきたのは、美空の声。
いつもの元気の欠片もない。


「美空? 大丈夫か?」

ベッドに横たわる美空に駆け寄る。

顔色も悪くて、かなり辛そうだ。


「透也…ダメかも……も、帰る……」

薄っすらと開いた目には涙が溜まり、途切れ途切れに言葉を紡ぐ唇は真っ青だ。


「送ってく。起きれる?」

美空が小さく頷いたのを確認して、ゆっくりと美空の身体を抱き起こす。


「─────うっ…‼︎ 」

俺の腕の中でグッタリとしていた美空が、急にカッと瞳を開き飛び起きた。

そのまま、すごい勢いで医務室の水道へと駆け寄る。


ジャージャーと勢い良く流れ出る水道の水。

苦しげな声を上げる美空。
吐きたいのに吐けない、そんな感じ。

その光景をボーッと見つめる。


ちょっと待て……

呆然とする一方で、片隅で警鐘を鳴らす頭。


これって……

………これって……さ……

─────ドラマとかでよく観る……アレ?


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