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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
「ええっ⁉︎ 」

美空の背中を摩ってやる事も忘れて、俺は思わず大声を出していた。


心臓が飛び跳ねて、ドックンドックン騒ぎ出す。

「……マジ……?」

嫌な汗が全身を流れる。


唐突に、先程の部署での皆の視線を思い出す。

(あれって…そういう事だったのか……)

グラリと揺れた視線の先では、今だ吐き気の治まらない美空が苦しげな動作を繰り返している。


(避妊…ちゃんとしてたよな?)

恐る恐る美空の方へと近付いていく。

(避妊…は完全て事はないって言う……けど……)

美空の背中へと伸ばした俺の手は小刻みに震えていた。


「み…く……」

そっ…と、美空の背中に手を置く。

ビクッと身体を硬くする美空。

振り返り、俺を見上げる美空の瞳は、不安げに揺れている。


”男として、キチンと責任取れよ?”

部署を出る時、久我さんに掛けられた言葉…。


─────そう…だよな……。

俺なんかより、美空の方が不安に決まってる。

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