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想い人
第8章 【続】第三章・勘違いの想い人
美空の父親はテーブルにつき、美空を隣に侍らせて酒を飲み始めた。

呆れ顔の美空の母親に促され、俺と美空の母親がその向かいに座った。


「パパの帰りを待っててくれたのぉ?」

「お母さんから連絡いったでしょ? 透也が挨拶に来たの!」

美空の頭へと伸ばされた父親の手が、目当ての場所に触れる寸前でピタッと止まる。


「あ、俺、岡安透也と…」

「嫁にはやらん‼︎ 」


タイミング間違えたか?

自己紹介しようとした俺の言葉を遮り、美空の父親は大きな声を出した。


「もー、まだ結婚する訳じゃないよ」

美空の言葉に、美空の父親は俺から美空へと視線を戻し、またへにゃりと眉を下げて笑う。


「そうなの? 美空ぅ、ずっとお父さんの傍に居てくれよー」

「やだよ」

「うわーん、美空が反抗期だぁ」

「鬱陶しいわ‼︎ 」


………何だコレ。

美空と父親は、いつもこんな感じなのか?

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