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想い人
第3章 それぞれの想い人
「よしっ! 気合い入れて行くぞっ‼︎ 」
パチンと頬を叩いて気合いを入れる。

昼休み、また受付にいる透也。
蕾さんと楽しそうに話す透也の姿に、胸が締め付けられる。

でも、負けない!
今日こそは素敵な4ヶ月記念日にするんだから‼︎


「透也っ!」

口の端をグッと持ち上げ笑顔を作る。
私は駆け足で透也に近付いた。

「美空」
軽く片手を上げて笑顔を見せる透也。
キュンとときめく私の心は正直だ。

「透也くん……っ」

─────…っ‼︎

ギュッ
抱き着くように、蕾さんが透也の腕を引き寄せ、透也の耳元へ唇を寄せる。

蕾さんの視線は完全に私に向けられ、余裕の笑みを浮かべていた。


「……大丈夫だよ」
透也が蕾さんへ優しい視線を向けた。

心臓がキリキリと痛む。
嫌な予感がする……。

ゆっくりと私へ向けられる視線。
申し訳なさげな表情に、透也に駆け寄っていた私の足が止まった。


─────…振られる⁉︎


不意によぎったその言葉に、私はくるりと身体を翻し来た道を駆け戻っていた。

「美空……っ⁉︎ 」
透也の声が遠くで聞こえた。

でも、追いかけても来ない。

透也はまだ蕾さんと居るんだね。

優先順位の違いで思い知らされる。

わかり切った事……いつまで続けるの?

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