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想い人
第3章 それぞれの想い人
「蕾さんからの頼まれごとを引き受けただけだから……」

「頼まれごと?」

何だろ?
両親との食事とか?

「美空は…何も心配しなくていいから……っ 」

そう言って、透也は動きを再開する。

「あっ…ああっ、透也っ、あんっ」

その動きに翻弄されて、それ以上聞くことも、考えることも出来なくなっていた。


でも、心配しなくていいって透也は言った。
私は透也を信じよう。


「ああっ、もっ、イッちゃうっ」

背中を反らせた私の腰を、透也はグッと引き寄せて掴んだ。

透也によって激しく揺り動かされる私の腰。合間に、より深くを突き上げる透也。

「もっ…ダメぇっ‼︎ 」

透也と繋がっている所から身体中に熱が駆け巡った。


「っ……美空……っ‼︎ 」

私の中で張り詰めた透也。苦しげにも見え、悩ましげな顔は色っぽくも見える。

堪らず、私は自ら唇を重ねていた。





─────幸せの絶頂にいる私はまだ知らない。

透也の言う”蕾さんからの頼まれごと”のせいで、別れを決断せざるを得なくなるという事を……。


まだ、何も知らなくて、ただこの瞬間の幸せに浸っていた。

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