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リヴァイ兵長は選べない人
第12章 そして彼が選ぶ時
「リヴァイ、私だ入るぞ」

―エルヴィンだ。
リヴァイが返事をする間もなく、扉は開かれた。
ゆっくりと振り向くと互いに目が合う。

「おや珍しいな、匂いを嫌がるお前が煙草を吸っているなんて」
「ああ、たまにはというヤツだ」
「まあ丁度いい、良いワインが手に入ってね、一緒にどうだい?」
「悪かねーな」

エルヴィンはワインとグラス二つをテーブルに置くと、隣に腰かけてきた。
手際よくワインのコルクを外すと、グラスにそっと注ぎ込む。
その姿をリヴァイはじっと見つめていた。
あれだけどうやって今日話をしようか悩んでいたのに、その機会が突然来た。
多少の動揺があったが、エルヴィンが普通に接してくれている事にとりあえず安心をした。

「リヴァイ、私にも一本貰えるかい?」
「お前、随分前にやめたんじゃ無かったのか」
「たまにというヤツだよ」

にっこりとエルヴィンは微笑むと煙草の箱に手を伸ばした。
一本抜き取るとその厚めの唇に挟み込む。

「あ、火を…」
「いや、火ならこれでいい」
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