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茅子(かやこ)の恋
第9章 新しい生活

2日ぶりに職場に出ると、茅子は朝の申し送りで翔太と顔を合わせた。いつものように快活に挨拶する翔太に、茅子は少しぎこちなく頭を下げた。本当は昨日、茅子は翔太の部屋に行く筈だった。しかし茅子は嘘をつき、約束を破っていた。
「茅ちゃん、大丈夫?」
事務室を出ると、翔太が周りを見渡しながら声を掛けた。茅子は小さく頷くと、翔太に詫びた。翔太は茅子が熱を出したと思っていた。
「キットは陰性だから、たぶん大丈夫」
「熱は?」
「おとといの夜、ほんの一瞬あっただけ」
施設勤務の関係上、職員はコロナとインフルの検査キットを持っていた。おととい翔太にしたラインは、もちろん嘘だった。
「心配かけてごめんね…」
「とんでもない…でも、茅パイを拝めなくて残念」
「もう、ばか!」
誰も見ていないことを確認しながら、茅子は笑顔で翔太の肩を叩いた。しかし笑顔の裏で、茅子は翔太に心の中で謝っていた。
「今度、いつ?」
「うん、またラインする」
エレベーターが動く気配に、ふたりは同僚に戻った。小さく手を振ると、翔太は3階の持ち場に戻って行った。
「茅ちゃん、大丈夫?」
事務室を出ると、翔太が周りを見渡しながら声を掛けた。茅子は小さく頷くと、翔太に詫びた。翔太は茅子が熱を出したと思っていた。
「キットは陰性だから、たぶん大丈夫」
「熱は?」
「おとといの夜、ほんの一瞬あっただけ」
施設勤務の関係上、職員はコロナとインフルの検査キットを持っていた。おととい翔太にしたラインは、もちろん嘘だった。
「心配かけてごめんね…」
「とんでもない…でも、茅パイを拝めなくて残念」
「もう、ばか!」
誰も見ていないことを確認しながら、茅子は笑顔で翔太の肩を叩いた。しかし笑顔の裏で、茅子は翔太に心の中で謝っていた。
「今度、いつ?」
「うん、またラインする」
エレベーターが動く気配に、ふたりは同僚に戻った。小さく手を振ると、翔太は3階の持ち場に戻って行った。

