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茅子(かやこ)の恋
第9章 新しい生活

「さむー!」
「当たり前じゃん、裸で…」
バスタオル姿で歯を磨いていた茅子が、呆れたように口を開いた。そして抱えていた洗濯物を洗濯機に放りこむと、航は浴室に入っていった。
「あったけー!」
ザブンと湯に入る音が聞こえると、航が声を上げていた。その声に母はひとり微笑んでいた。歯磨きを終えると茅子はバスタオルのまま浴室に入った。
「背中、流してあげる」
「え、サービス抜群じゃん!」
「まあ…航、頑張ってるみたいだから!」
母が笑いながら軽口を叩くと、息子はすぐに浴槽から出てきた。航は浴室に入ったときから、懐かしいものを見つけていた。
「これ、オレのお風呂椅子だよね」
「うん、覚えてた?」
「当たり前じゃん!」
嬉しそうに小さな緑の風呂椅子を撫でると、航はゆっくりそれに腰を掛けた。小さな頃はジャストだったカエルの風呂椅子から、息子の締まったお尻がはみ出していた。
「押し入れの整理をしてたら、奥から出てきた…」
航の背中をタオルで擦りながら、茅子が懐かしそうに語りかけた。
「捨ててなかったんだね…」
顔を前に向けたまま返事をした息子の背中に、母は若いころの夫を重ねていた。押し入れの中には昔の写真もたくさんあり、茅子は結局ほとんど整理ができなかった。久しぶりに見返した夫の姿は、まさに航そのものだった。
「当たり前じゃん、裸で…」
バスタオル姿で歯を磨いていた茅子が、呆れたように口を開いた。そして抱えていた洗濯物を洗濯機に放りこむと、航は浴室に入っていった。
「あったけー!」
ザブンと湯に入る音が聞こえると、航が声を上げていた。その声に母はひとり微笑んでいた。歯磨きを終えると茅子はバスタオルのまま浴室に入った。
「背中、流してあげる」
「え、サービス抜群じゃん!」
「まあ…航、頑張ってるみたいだから!」
母が笑いながら軽口を叩くと、息子はすぐに浴槽から出てきた。航は浴室に入ったときから、懐かしいものを見つけていた。
「これ、オレのお風呂椅子だよね」
「うん、覚えてた?」
「当たり前じゃん!」
嬉しそうに小さな緑の風呂椅子を撫でると、航はゆっくりそれに腰を掛けた。小さな頃はジャストだったカエルの風呂椅子から、息子の締まったお尻がはみ出していた。
「押し入れの整理をしてたら、奥から出てきた…」
航の背中をタオルで擦りながら、茅子が懐かしそうに語りかけた。
「捨ててなかったんだね…」
顔を前に向けたまま返事をした息子の背中に、母は若いころの夫を重ねていた。押し入れの中には昔の写真もたくさんあり、茅子は結局ほとんど整理ができなかった。久しぶりに見返した夫の姿は、まさに航そのものだった。

