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茅子(かやこ)の恋
第10章 旅立ち
「お母さん、頑張ってくるよ!」
「うん、いってらっしゃい!」
新しい勤務先に向かい、母はひとりで旅立った。一緒に行きたい気持ちを抑え、航は新幹線の駅で母と別れた。別れ際、ふたりは物陰で最後のキスをした。

マンションに戻った航は、母のいなくなった部屋を見渡した。母は病院の借り上げ社宅に入ったので、家具は全てそのままにある。しかしクローゼットの中の母の服やバッグ、化粧品など母の身の回りのものは、引っ越し先に運ばれていた。母の気配が少なくなった部屋で、航は駅まで持っていった一眼レフを手に取ると、ベッドに寝転んだ。

母子が恋人同士になった2年前、ふたりは一緒に部屋を模様替えした。母のすこし広い部屋をふたりの寝室にして、航の部屋は物置部屋になった。寝室に航のベッドを運び入れ、茅子のベッドにぴったりくっつけた。新しく買った大きなシーツでふたつのマットレスを包むと、茅子と航のためのダブルベッドになった。

母の残り香がするダブルベッドの上で、航は一眼レフのスイッチを入れた。起動したモニターに、別れの際に撮った母の笑顔が映しだされた。航は一枚ずつ、モニターに映る母の姿を見返した。そして母の写真の合間に、航自身の寝顔があった。別れの朝、母は一眼レフを使い、いつの間にか息子の姿をカメラに収めていた。
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