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茅子(かやこ)の恋
第12章 葛藤
航が目を覚ますと、身体が甘く懐かしい匂いに包まれていた。懐かしい匂いは隣で眠っていた。外はまだ漆黒で、航は少し寝ぼけていた。

覚ました目をもういちど瞑り、航は匂いを放つ裸の背中に手を伸ばした。引き寄せた相手の振り向いた気配がしたが、航はまどろんだまま目を閉じていた。甘い匂いと体温が近づくのを感じ、航は小さく声をあげた。

「お母さん…」
相手は黙ってキスで返事をすると、航の股間に手を伸ばした。航はやっと目を開けると、キキスを返した。

「おはよ!」
目の前で結衣ちゃんが微笑んでいた。航はびっくりすると同時に、口ずさんだ言葉を飲みこんだ。

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