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茅子(かやこ)の恋
第12章 葛藤

「…なんか、嫉妬しちゃう」
結衣はシーツの中で身体を丸め、航の胸に抱かれていた。その目は少しだけ潤んでいた。
「でも、母には彼氏がいるよ…」
航は思い切って結衣にすべてを話した。母は若い彼氏と復活したことを、暗に航に伝えていた。
「…じゃあ、結衣にもチャンスある?」
「オレには…結衣しかいない」
航はそのとき、嘘は言わなかった。結衣を愛し始めたことに、間違いはなかった。結衣は航の言葉に頬を染めると、今度は自分のことを話し始めた。
「今まで付き合った人はいない…」
航は胸の中で小さな声で話す結衣の言葉に、真剣に耳を傾けた。暖房を緩くかけた11月の寝室は決して暑くなかったが、航はセックスでかいた汗が引いたにもかかわらず、また身体にうっすら汗を感じ始めた。
航はすでに結衣の過去を察していた。結衣は地方の母子家庭で、経済的に恵まれていない。しかし希望を胸に、大学へ進学した。奨学金とアルバイトで大学生活を始めたが、看護師の母が病気で倒れたことがあった。たったひとりの姉から連絡を受けたのは、結衣が大学1年生の夏休みの前だった。
「後期の授業料、どうしようって」
姉も心配し、援助すると言ってくれた。しかし姉も就職したてで、余裕はなかった。結局、結衣はお水から風俗へ入った。後期の授業料は無事、払うことができた。
「最初の夜で…なんとなくわかってた」
「…だよね」
結衣は話し終わると、すっきりした顔に悲しい表情を浮かべていた。航は結衣に向き合うと、はっきり言葉に出した。
結衣はシーツの中で身体を丸め、航の胸に抱かれていた。その目は少しだけ潤んでいた。
「でも、母には彼氏がいるよ…」
航は思い切って結衣にすべてを話した。母は若い彼氏と復活したことを、暗に航に伝えていた。
「…じゃあ、結衣にもチャンスある?」
「オレには…結衣しかいない」
航はそのとき、嘘は言わなかった。結衣を愛し始めたことに、間違いはなかった。結衣は航の言葉に頬を染めると、今度は自分のことを話し始めた。
「今まで付き合った人はいない…」
航は胸の中で小さな声で話す結衣の言葉に、真剣に耳を傾けた。暖房を緩くかけた11月の寝室は決して暑くなかったが、航はセックスでかいた汗が引いたにもかかわらず、また身体にうっすら汗を感じ始めた。
航はすでに結衣の過去を察していた。結衣は地方の母子家庭で、経済的に恵まれていない。しかし希望を胸に、大学へ進学した。奨学金とアルバイトで大学生活を始めたが、看護師の母が病気で倒れたことがあった。たったひとりの姉から連絡を受けたのは、結衣が大学1年生の夏休みの前だった。
「後期の授業料、どうしようって」
姉も心配し、援助すると言ってくれた。しかし姉も就職したてで、余裕はなかった。結局、結衣はお水から風俗へ入った。後期の授業料は無事、払うことができた。
「最初の夜で…なんとなくわかってた」
「…だよね」
結衣は話し終わると、すっきりした顔に悲しい表情を浮かべていた。航は結衣に向き合うと、はっきり言葉に出した。

