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第1章 偶然

「楓〜‼︎こっちこっち」

親友の幹が私のことを呼んできた。

私が颯斗の方を気にして、振り返ってみると

「行ってこいよ」

冷静にかつ少し冷めたような目で告げる颯斗にさっきの気さくさは消えていた。

私以外の人を含む時にみせる冷静モードにはいっていた。


颯斗はなぜかみんなの前ではただ冷静としか言いようがないような態度をとっている。

最初のうちは私も気になったりしたのだけど、時間がたつにつれてそんなこと気にしたりしなくなった。


「うん、ありがと」


私はそれだけいって幹の方へはしりよっていった。


「ねぇ、一緒に写真とって‼︎」

「名前教えて〜」

そのタイミングを見計らったかのように大量の女子が颯斗に群がっていった。

なんだか、その時一瞬胸がつまるような感覚に襲われたけだその時はさほど気にしたりしなかった。

その時、颯斗が自分の後ろ姿を目で追っていたことも、
その目線に気がついて彼女に最近嫉妬という感情をぶつけていた女子の存在にも…

まだ気づいていなかった。