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甘く清らかな誓い
第1章 第1章

とにかく、少しでも警察から離れたい一心で、走り逃げたが、パトカーは蟻の大群のように叢がり、どういう経路か、莉子はビルの非常階段を昇っていた。

鉄骨の螺旋階段を必死で走り昇る。

もうすぐ最上階というとき、曲がり角から突然正面から鉄パイプを振り下ろされた。

「―――っ!?」

咄嗟に気づき、間一髪で避ける。

振り下ろされた鉄パイプは、階段の手摺りに叩きつけられ、鈍い音が鳴り響く。

階段から振動が伝わる。

「…誰?」

莉子が固い声で聞くと、鉄パイプを持った人物が振り返る。

「っ!?」

鉄パイプを持った人物は紺のスーツ姿に、黒いヘルメットを被っていた。

背格好や体格からして、多分男だろう。

振り返ったヘルメット男は、再び莉子に襲いかかろうとする。
鉄パイプを剣道の構えのように持ち、ジリジリと莉子に近づく。

莉子は後退りながらも恐怖心を必死で抑えつけ、ヘルメット男を睨んだ。

「何で私を襲うの?」
「………」

莉子が聞くがヘルメット男は黙ったままである。


「そりゃあ、私、あまり良い性格じゃないけどさ、殺されるほど恨まれるような事はしていないとおもうんだけど?」
「………」

ヘルメット男は何も喋らない。
それがかえって恐怖心を増加させる。

ヘルメット男が攻撃してきた。
今度は鉄パイプを右往左往に振り回し攻撃してきたが、莉子は紙一重で避ける。

そしてヘルメット男の後ろに回り、莉子は持っているカバンを思いっきり振り叩いた。

「ぐっ!?」

ヘルメット男がよろけると、上着から何かが落ちてきた。

カラン…と落ちてきて、何かと思い素早く拾う。
拾った物を見て莉子は驚いた。


「これ………警察バッジ…っ!?」
「―――っ!?」

そう、ヘルメット男が落としたのは、警察官である証の警察バッジだった。

「あんた…警察なのっ!?じゃあまさかっ、真犯人は…っ!?」
「……っ!!」

莉子がいろいろ察した時、ヘルメット男が鉄パイプを振り下ろす。

莉子は咄嗟にカバンを盾にする。
そして片手で鉄パイプを掴む。

「くっ!?」
「…っ!!」

殺されてたまるかっ!!というように、莉子はヘルメット男を睨み薄く笑う。

…が、体格や力はヘルメット男が有利であり、莉子は背中は手摺りへと押しこまれた。

そして、手摺りかひっくり返るように、真っ逆さまで落下した。
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