この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
メダイユ国物語
第6章 小さな慰み者
        1

 翌朝、窓から差し込む暖かな陽の光の中で、マレーナは目覚めた。身体には毛布が掛けられている。確か昨晩はベッドに横たわってそのまま眠ってしまったはず――彼女は怪訝な面持ちで周囲を見回した。

「おはようございます、マレーナ様」

 隣室の扉がノックされ、それと同時に扉の向こうから声が掛けられた。聞き慣れた声だ。

「――どうぞ。入って」

 マレーナが答えるとすぐに扉が開き、小さな侍女が顔を覗かせた。

 パウラは無事だった。マレーナは胸を撫で下ろした。

「パウラ、よかった……昨晩はどこへ行っていたのですか? 心配したのですよ?」

 ベッドから起き上がり、マレーナはパウラの元へ歩み寄る。

「は、はい……お手伝いが要るとのことでしたので、そちらへ行っていました」

 彼女は目を伏せて答えた。

「こちらへ戻って来たら、マレーナ様はすでにお休みでしたので、お声をお掛け出来ませんでした。ご心配をお掛けして申し訳ございませんでした」

 パウラはそう続けると、膝に両手を添えて深くお辞儀した。

「あなたが無事ならそれでいいの。でも――」

 パウラの言葉に不審を抱いたマレーナは、体制を低くして目線を合わせ、両手を彼女の肩に置いた。

「手伝いって? あなたも兵士に連れて行かれたの? 何もされてないでしょうね?」

 ファニータが兵士に連れ去られた時と同じ状況だ。パウラまでオズベリヒの実験に巻き込まれたのではないか、マレーナは咄嗟にそう考えた。

「あの……はい、兵隊の人に付いて行きました。でも……お部屋のお掃除や、お洗濯のお手伝いをしただけです」

 王女の立て続けの質問に気圧(けお)されながら、小さな侍女は答えた。

「――そう、それだけなのね。よかった」

 安堵したように、マレーナはパウラの顔を覗き込んだ。だが、彼女の表情は冴えない。顔色も悪いようだ。

「どうかしたのですか? 身体の具合が悪いのであれば、しばらく休んでもらって構いませんよ? それとも医務室へ行きますか?」

 元気のないパウラを気遣うマレーナ。だが、パウラはぎこちない笑顔を主に向けながら、

「いえ……何でもございません。私は朝食のご用意をいたします」

 そう答えると、その場から逃げるように部屋を出て行った。
/94ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ