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第2章 ~無口な王子~

「殿下って……意外に可愛らしい方なのですね」

「かっ……可愛くなど……そんなこと言うのは姜花ぐらいだ」

　目の前の殿下は怒っていた。
　なのに、姜花は殿下がより愛おしく感じた。

「やっぱり、可愛いです」

「…………可愛いのはお前だろ」

　殿下は、小さな声でボヤきながら言った。

「何か言いました？」

「……いや、何も」

　と、殿下はふっと小さく笑った。

　その笑顔に姜花はドキッとする。

　────殿下が……笑った。

「帰る……ぞ」

　ぼぅ……と、見つめる姜花に殿下は、いつもの低い声で言った。でも、ほんの少し表情が和らいで見えた。