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青い煩い、少女の情動。
第7章 勉強会という名の……

土曜日。
私は満を持して、響君の家へ向かった。家は学校からそう遠くない。充分に自転車でいける距離だったので、私は愛車を連れて、朝の静かな街並みを颯爽と通り抜けていった。問題は前髪があらぬ方向へボサボサになってしまうことだけれども、いつもそうなので仕方ない。学校でも、駐輪場を降りてから靴箱に向かうまでに両手でちょちょんっと直す程度なのだから、今気にしたところでなにも変わらない。
それよりも私は着てきた服の方に不安がある。清楚を意識した白のトップスに深緑のロングスカートだ。床に座って勉強する可能性も考慮して、私は長いスカートを選んできた。流石にパンツだと色気に欠けるかなっと思ったのだ。
響君はどんな格好が好きなんだろう?
私はひんやりとした空気に髪を靡かせながら、優雅に自転車を漕ぐ。バッグの中には筆箱と教科書と問題集とノート。1番やばい数学と理科を持ってきた。
順調にいくと良いな。
……
ぼんやりと思考に落ちていた私に悲劇が訪れることになる。
ぽつ、ぽっ、
冷たっ。と手に触れる水の感触。耳に、頭に、どんどんその感覚が増えていく。
えっ!もしかして雨?天気予報はずっと晴れだったのに?今朝見た天気予報では、今日の天気は一日中晴れだった。だから私は何の心配もしていなかったし、傘の一つも持ってきていない。持ってきていたところで、傘を差しながら自転車を漕ぐのは抵抗があるため、差していたかどうかはわからないが。
現状、無情にも雨が降っている。雨足はどんどん強くなってきている。数分後には土砂降りの様相を呈しているだろう。ゲリラ豪雨ももうちょっと手加減するはずだ。雨宿りしようかと考えたが、いつ止むかわからない雨で立ち止まって、響君との勉強会の時間が縮まってしまっては元も子もない。
……
仕方ない。
私はスピードを上げて、響君の家へと向かうのだった。髪がふわふわ飛んでいかないのは幸いだったかもしれない。

