この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それぞれの後編
第8章 サディスティック・マリッジ〜第三章・夏〜【一年目の記念日】
資料室に入った琉と愛里咲は、中の光景に目を見開いた。
倒れた脚立の傍で、ファイルに埋もれる様に倒れている摩美。
気を失っているのか動く気配がない。
「おいっ、大丈夫か⁈ 」
摩美に駆け寄る琉。
ドサッと琉が投げるように置いたファイルの山が机から落ちそうになり、愛里咲は慌てて押さえた。
「森永っ⁈ 」
珍しく上擦った琉の声にそちらを見れば、摩美を抱き起こす琉の姿が映る。
チクッ
愛里咲の胸が小さく痛む。
(そんな場合じゃないのにっ…)
胸の痛みと共に浮かんできた涙を、愛里咲は慌てて拭った。
「……琉先輩…?」
琉の腕の中で、摩美が薄っすらと目を開く。
「大丈夫か?」
心配そうな琉の声が摩美に掛けられ、愛里咲の胸がまた痛む。
「琉先輩っ…‼︎ 」
ガバッと摩美の腕が琉の首に回される。
そのまま泣きじゃくる摩美。
余程怖い思いをしたのかもしれない……。
散々陰湿なイジメをその身に受けてきた愛里咲には、摩美の辛さが理解出来る気がした。
でも─────…
(何で抱きつかれたままいるの?)
泣きじゃくる摩美の背中に手を回し、宥めるようにその背を優しく叩く琉。
気付けば、愛里咲の瞳いっぱいに涙が溜まっていた。
「愛里咲、悪い…片付け頼む」
そう言って摩美を抱き上げる琉。
涙を見られないように、愛里咲は勢い良く頷いたまま俯く。
所謂”お姫様抱っこ”をしたまま、琉は摩美を医務室へと運んで行った。
倒れた脚立の傍で、ファイルに埋もれる様に倒れている摩美。
気を失っているのか動く気配がない。
「おいっ、大丈夫か⁈ 」
摩美に駆け寄る琉。
ドサッと琉が投げるように置いたファイルの山が机から落ちそうになり、愛里咲は慌てて押さえた。
「森永っ⁈ 」
珍しく上擦った琉の声にそちらを見れば、摩美を抱き起こす琉の姿が映る。
チクッ
愛里咲の胸が小さく痛む。
(そんな場合じゃないのにっ…)
胸の痛みと共に浮かんできた涙を、愛里咲は慌てて拭った。
「……琉先輩…?」
琉の腕の中で、摩美が薄っすらと目を開く。
「大丈夫か?」
心配そうな琉の声が摩美に掛けられ、愛里咲の胸がまた痛む。
「琉先輩っ…‼︎ 」
ガバッと摩美の腕が琉の首に回される。
そのまま泣きじゃくる摩美。
余程怖い思いをしたのかもしれない……。
散々陰湿なイジメをその身に受けてきた愛里咲には、摩美の辛さが理解出来る気がした。
でも─────…
(何で抱きつかれたままいるの?)
泣きじゃくる摩美の背中に手を回し、宥めるようにその背を優しく叩く琉。
気付けば、愛里咲の瞳いっぱいに涙が溜まっていた。
「愛里咲、悪い…片付け頼む」
そう言って摩美を抱き上げる琉。
涙を見られないように、愛里咲は勢い良く頷いたまま俯く。
所謂”お姫様抱っこ”をしたまま、琉は摩美を医務室へと運んで行った。