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それぞれの後編
第8章 サディスティック・マリッジ〜第三章・夏〜【一年目の記念日】
「メロンパンっ‼︎ 」
自らが両手で掴んだものの正体を知れば、愛里咲は嬉しそうな声を上げる。
大好物のメロンパン。
胸いっぱいにその香りを吸い込み、破顔する。
「高級な香りがする……」
うっとりと目を閉じたまま、その香りを堪能する愛里咲の隣から、堪えきれずに噴き出す笑い声がした。
「外出た時に、たまたまその店の移動パン屋がいたんだよ。ラッキーだったな」
ゲラゲラと笑いながら、琉が答えた。
元気良く御礼を言って食べ始める愛里咲。
その様子を、琉も口元を綻ばせて見ていた。
「琉ちゃんも一口食べる?」
琉の視線に気付き、愛里咲はメロンパンをズイッと琉に差し出す。
「んな幸せそうに食ってんの貰ったら呪われそうだからやめとく」
フッと意地悪く口元を上げる琉。
ドキッと高鳴る胸の鼓動に釣られて、赤くなる顔を見られないように、愛里咲は顔を背けまたメロンパンにかぶり付いた。
「……疑ってないから」
「ん?」
ぼそりと呟かれた琉の言葉に、愛里咲は顔を上げた。
「普段の愛里咲を知ってる部署の奴ら全員さ、誰も愛里咲を疑ってない」
それが貼り紙事件の事だろうと、愛里咲もすぐに察する。
「うん…ありがと」
嬉しい気持ちと照れ臭い気持ちに、また熱を持つ顔。
誤魔化すようにまた、愛里咲はメロンパンにかぶり付いた。
自らが両手で掴んだものの正体を知れば、愛里咲は嬉しそうな声を上げる。
大好物のメロンパン。
胸いっぱいにその香りを吸い込み、破顔する。
「高級な香りがする……」
うっとりと目を閉じたまま、その香りを堪能する愛里咲の隣から、堪えきれずに噴き出す笑い声がした。
「外出た時に、たまたまその店の移動パン屋がいたんだよ。ラッキーだったな」
ゲラゲラと笑いながら、琉が答えた。
元気良く御礼を言って食べ始める愛里咲。
その様子を、琉も口元を綻ばせて見ていた。
「琉ちゃんも一口食べる?」
琉の視線に気付き、愛里咲はメロンパンをズイッと琉に差し出す。
「んな幸せそうに食ってんの貰ったら呪われそうだからやめとく」
フッと意地悪く口元を上げる琉。
ドキッと高鳴る胸の鼓動に釣られて、赤くなる顔を見られないように、愛里咲は顔を背けまたメロンパンにかぶり付いた。
「……疑ってないから」
「ん?」
ぼそりと呟かれた琉の言葉に、愛里咲は顔を上げた。
「普段の愛里咲を知ってる部署の奴ら全員さ、誰も愛里咲を疑ってない」
それが貼り紙事件の事だろうと、愛里咲もすぐに察する。
「うん…ありがと」
嬉しい気持ちと照れ臭い気持ちに、また熱を持つ顔。
誤魔化すようにまた、愛里咲はメロンパンにかぶり付いた。