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それぞれの後編
第8章 サディスティック・マリッジ〜第三章・夏〜【一年目の記念日】
優しい味……よく使われてる売り文句だけど、琉の優しさが足されたメロンパンは、いつもよりもずっと美味しく感じる。
愛里咲は幸せそうに口角を上げ、メロンパンを貪った。
「あいつも…悪戯心で愛里咲の名前を出したんだと思う」
ズキン…
幸せ気分に浸っていたせいか、琉の何気ないその言葉に愛里咲の胸に苦くて重い気持ちが広がっていく。
(あいつって…森永さんの事だよね?)
モヤモヤと、愛里咲の心に黒い霧が立ち込める。
「何か…琉ちゃんは森永さんに優しい気がする」
「は?」
「琉ちゃんの性格なら、嫌ならもっとハッキリ態度で示しそうなのに…」
「ハッキリ態度で示してるけど?」
琉の声に不機嫌さが入り混じる。
謝って終わりにしようと思う気持ちがあるのに、愛里咲の脳裏を痛みしかない情景が過る。
入社して間も無く、琉にキスをした摩美。
それからも必要以上に琉に引っ付く摩美。
そして、先日の摩美をお姫様だっこする琉。
「キス…されたじゃん…? お姫様…抱っこだって……」
愛里咲の言葉に、琉の口から苛立たしげなため息が零れる。
愛里咲は幸せそうに口角を上げ、メロンパンを貪った。
「あいつも…悪戯心で愛里咲の名前を出したんだと思う」
ズキン…
幸せ気分に浸っていたせいか、琉の何気ないその言葉に愛里咲の胸に苦くて重い気持ちが広がっていく。
(あいつって…森永さんの事だよね?)
モヤモヤと、愛里咲の心に黒い霧が立ち込める。
「何か…琉ちゃんは森永さんに優しい気がする」
「は?」
「琉ちゃんの性格なら、嫌ならもっとハッキリ態度で示しそうなのに…」
「ハッキリ態度で示してるけど?」
琉の声に不機嫌さが入り混じる。
謝って終わりにしようと思う気持ちがあるのに、愛里咲の脳裏を痛みしかない情景が過る。
入社して間も無く、琉にキスをした摩美。
それからも必要以上に琉に引っ付く摩美。
そして、先日の摩美をお姫様だっこする琉。
「キス…されたじゃん…? お姫様…抱っこだって……」
愛里咲の言葉に、琉の口から苛立たしげなため息が零れる。