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それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
はぁー…
静かなオフィスに、愛里咲のため息が零れ落ちた。
ファイルを片付けに資料室へ向かえば、途中で足を引っ掛けられ愛里咲の手から落ちた資料が混ざり合う。
それを仕分けて資料を片付けて戻れば、定時を30分も過ぎており、部署内はひと気もなくなっていた。
愛里咲は、左手薬指に嵌められたリングを指でなぞる。
思わぬ言い争いになったあの日から、琉と愛里咲は気まずいままだった。
いつもなら大抵愛里咲が折れるし、琉もここまで意固地になる事もない。
長引く夫婦喧嘩。避け合う2人に、日に日に勘づく者も増えてきている。
元々早目に出社する愛里咲に合わせていた琉は、最近では愛里咲が出掛けてから起きてギリギリで出社してくる。
仕事上で必要な事は話をするが、それ以外は琉は愛里咲と目も合わせようとしない。
つい琉を目で追ってしまう愛里咲の視線が、心配そうに2人を見る男性社員や松田・坂本・根岸とぶつかり、満悦な笑みを浮かべる伊藤・神谷・荒木ともぶつかった。
帰りも、定時で帰る琉と残業の愛里咲は時間も合わない。
何より、琉が帰宅するのは日付が変わる頃。
定時で帰るのだからその後に出掛けているようだが、誰と何処に行くのかも愛里咲には連絡も無かった。
(意地の張り合いみたいになってる…謝っちゃえば済むことなのに……)
いつもならすぐにそうしている。
でもそう出来ないのはきっと、最近琉の隣に常に摩美が引っ付いているからだと思う。
はぁー…
今日何度目かのため息が愛里咲の口から零れた。
静かなオフィスに、愛里咲のため息が零れ落ちた。
ファイルを片付けに資料室へ向かえば、途中で足を引っ掛けられ愛里咲の手から落ちた資料が混ざり合う。
それを仕分けて資料を片付けて戻れば、定時を30分も過ぎており、部署内はひと気もなくなっていた。
愛里咲は、左手薬指に嵌められたリングを指でなぞる。
思わぬ言い争いになったあの日から、琉と愛里咲は気まずいままだった。
いつもなら大抵愛里咲が折れるし、琉もここまで意固地になる事もない。
長引く夫婦喧嘩。避け合う2人に、日に日に勘づく者も増えてきている。
元々早目に出社する愛里咲に合わせていた琉は、最近では愛里咲が出掛けてから起きてギリギリで出社してくる。
仕事上で必要な事は話をするが、それ以外は琉は愛里咲と目も合わせようとしない。
つい琉を目で追ってしまう愛里咲の視線が、心配そうに2人を見る男性社員や松田・坂本・根岸とぶつかり、満悦な笑みを浮かべる伊藤・神谷・荒木ともぶつかった。
帰りも、定時で帰る琉と残業の愛里咲は時間も合わない。
何より、琉が帰宅するのは日付が変わる頃。
定時で帰るのだからその後に出掛けているようだが、誰と何処に行くのかも愛里咲には連絡も無かった。
(意地の張り合いみたいになってる…謝っちゃえば済むことなのに……)
いつもならすぐにそうしている。
でもそう出来ないのはきっと、最近琉の隣に常に摩美が引っ付いているからだと思う。
はぁー…
今日何度目かのため息が愛里咲の口から零れた。