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それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
定時を告げるチャイムが鳴り響き、ザワザワと社員達が一斉に立ち上がる。
「愛里咲、帰れそう?」
帰り支度を済ませた根岸が愛里咲に駆け寄る。
「はい、あとこれの入力だけで終わりです」
何だかんだと飯村が手伝いを申し出てくれるため、今日の残業はあまり遅くならずに帰れそうだ。
「琉せんぱぁい」
ざわめくオフィス内に、摩美の甲高い声が響き、愛里咲は身体を硬くさせた。
「今夜も摩美に付き合わせて下さいっ」
仕事中はまるで重症だと言い張る足を多少引きずりながらも、摩美は軽い足取りで琉へと近付く。
「……お前は来んな」
「やだ、一緒にイキたい」
猫なで声を出しながら、摩美が琉の腕に自身の腕を絡めて歩き出す。
もう何日間も、こんな光景を見ている。
定時で摩美と共にオフィスを出る琉。その帰宅は深夜。
─────何か…モヤモヤする。
(まさか琉ちゃん…森永さんと……浮気してる…?)
愛里咲は半泣き顔で、マリッジリングを左手薬指ごとギュッとキツく握った。
「愛里咲、帰れそう?」
帰り支度を済ませた根岸が愛里咲に駆け寄る。
「はい、あとこれの入力だけで終わりです」
何だかんだと飯村が手伝いを申し出てくれるため、今日の残業はあまり遅くならずに帰れそうだ。
「琉せんぱぁい」
ざわめくオフィス内に、摩美の甲高い声が響き、愛里咲は身体を硬くさせた。
「今夜も摩美に付き合わせて下さいっ」
仕事中はまるで重症だと言い張る足を多少引きずりながらも、摩美は軽い足取りで琉へと近付く。
「……お前は来んな」
「やだ、一緒にイキたい」
猫なで声を出しながら、摩美が琉の腕に自身の腕を絡めて歩き出す。
もう何日間も、こんな光景を見ている。
定時で摩美と共にオフィスを出る琉。その帰宅は深夜。
─────何か…モヤモヤする。
(まさか琉ちゃん…森永さんと……浮気してる…?)
愛里咲は半泣き顔で、マリッジリングを左手薬指ごとギュッとキツく握った。