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それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
ポンッと愛里咲の頭に、佐藤の手が優しく乗せられた。

「琉の事、信じててあげてね」

「え?」

顔を上げた愛里咲の視界に、少し困ったように笑う佐藤。その隣の根岸も、同じような笑みを浮かべて愛里咲を見ていた。


「……琉ちゃんが何処に行っているのか…知ってるんですか?」

縋るような愛里咲の視線。佐藤はそれをしっかりと見据えた。

「愛里咲ちゃんが心配するような事は絶対にないから」

「……っ……」


釈然としない。

でも、琉と仲のいい佐藤がそう言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。

愛里咲は頷き、そのまま俯いた。


そして、摩美の甲高い猫なで声と共に琉がオフィスの出口へ向かう。

俯いたままの愛里咲を見遣る琉の視線は、その隣に立つ佐藤の視線とぶつかる。

ニッと笑って頷く佐藤。

一瞬目を瞠った琉だが、すぐにフッと口元を綻ばせる。

そして、摩美に無理矢理腕を引かれ、オフィスを後にした。


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