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第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】

(……寝れない……)

ゴロッと愛里咲は何度目かの寝返りを打つ。

はぁー…
愛里咲がため息を吐きかけた時、玄関ドアの音が聞こえた。

バサッ
愛里咲は頭まで布団を被り、キツく目を閉じる。


帰り際の琉と摩美の言葉、そして佐藤の言葉が、愛里咲の頭の中をグルグルと回る。

聞きたい事は山ほどある。

でも、心臓はズキズキと痛み、愛里咲の目と口を固く閉ざさせた。


シャワーを浴び終えたらしい琉の足音が近付いてくる。

カチャッ
背後で、寝室のドアが開く音。

頭まで布団に潜り、キツく目を閉じながら、愛里咲の頭の中では”聞きたい” ”聞きたくない”と二つの言葉が戦っていた。


”仲直りしたい”

そう思う程に、心臓はドクドクと忙しく騒ぐ。


ギシッ
ベッドの軋む音がして、背中に琉の気配を感じる。

布団の中に、琉が身体を滑り込ませたのがわかる。


「………愛里咲…」

背後から耳元で、低く掠れた琉の声が愛里咲の名前を呼んだ。