この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
定時30分前の給湯室では、ティーサーバーの掃除をする愛里咲の姿があった。
今朝までとは違い、鼻歌でも口遊みそうなくらいに上機嫌だ。
「……愛里咲さん、羨ましい」
突然掛けられた声に、愛里咲の身体が跳び上がる。
「ももももっ森永さん⁉︎ いつの間に⁈ 」
「……琉先輩の奥さんなんて、めちゃくちゃ羨ましい」
愛里咲の言葉なんてまるで聞こえていないかのように、摩美が繰り返しそう言った。
「………」
俯く摩美は、テンションが低く明らかに落ち込んでいるのがわかる。
(……なんか、森永さんがしおらしいと不気味……)
そんな失礼な事を思いながら、愛里咲は水を止め、洗った物を拭き始めた。
「……琉先輩、器用ですよね。昨日の夜だって、もうめちゃくちゃイケてた」
「……‼︎…」
─────”イケてた”?
(何が? どういう意味?)
昨日の夜に何があったのかはわからないけれど、摩美と一緒に居たのだという事はハッキリとわかった。
愛里咲は、重苦しい痛みのする胸をギュッと押さえた。
「……私じゃ叶わない……」
「え?」
いつも強気な摩美の、まるで敗北宣言のような言葉に、愛里咲は怪訝そうに摩美を見つめた。
「琉先輩のあんな顔…初めて見た」
「……どんな顔?」
「でもっ諦めませんから‼︎ 」
「え? ちょっと…⁉︎」
会話が成立しないまま、立ち去る摩美。
(……捻挫良くなってきてるみたいね)
足早に立ち去る摩美の後ろ姿に、愛里咲はぼんやりとそんな事を考えていた。
今朝までとは違い、鼻歌でも口遊みそうなくらいに上機嫌だ。
「……愛里咲さん、羨ましい」
突然掛けられた声に、愛里咲の身体が跳び上がる。
「ももももっ森永さん⁉︎ いつの間に⁈ 」
「……琉先輩の奥さんなんて、めちゃくちゃ羨ましい」
愛里咲の言葉なんてまるで聞こえていないかのように、摩美が繰り返しそう言った。
「………」
俯く摩美は、テンションが低く明らかに落ち込んでいるのがわかる。
(……なんか、森永さんがしおらしいと不気味……)
そんな失礼な事を思いながら、愛里咲は水を止め、洗った物を拭き始めた。
「……琉先輩、器用ですよね。昨日の夜だって、もうめちゃくちゃイケてた」
「……‼︎…」
─────”イケてた”?
(何が? どういう意味?)
昨日の夜に何があったのかはわからないけれど、摩美と一緒に居たのだという事はハッキリとわかった。
愛里咲は、重苦しい痛みのする胸をギュッと押さえた。
「……私じゃ叶わない……」
「え?」
いつも強気な摩美の、まるで敗北宣言のような言葉に、愛里咲は怪訝そうに摩美を見つめた。
「琉先輩のあんな顔…初めて見た」
「……どんな顔?」
「でもっ諦めませんから‼︎ 」
「え? ちょっと…⁉︎」
会話が成立しないまま、立ち去る摩美。
(……捻挫良くなってきてるみたいね)
足早に立ち去る摩美の後ろ姿に、愛里咲はぼんやりとそんな事を考えていた。