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それぞれの後編
第9章 サディスティック・マリッジ〜第四章・夏〜【仲直りの仕方】
”森永さんとは…してないの?”

(ホント、意味わかんねぇ)


”愛里咲以外には勃たない”
過去に愛里咲にそう告げていた筈。

(そんだけ不安にさせてたって事か……)

衣服を整える愛里咲を、琉は後ろから抱き締める。

ポケットから取り出した何かを、細いその首にフワリと掛けた。


「……ネックレス?」

首元にヒヤリと冷たい感覚。

そして、首元でキラリと光るそれは、ホワイトゴールドのネックレスだ。


ヘッドは雫の形で、右下に煌めく石が埋められ、その下にはアルファベットのAとRが並んでぶら下がっている。

「……愛里咲のAと琉のR?」

「……っ……」

琉が小さく息を飲んだ気がして、愛里咲は後ろを振り返ろうとした。

「琉ちゃん?」

「うるさい、こっち見んな」

愛里咲の顔を前へ向かせ、後ろから抱き締めたまま、琉は愛里咲の身体へ体重を掛ける。

「やだっ…重い‼︎ 」

前屈みになった愛里咲の首元で、ネックレスが煌めきながら揺れる。

琉は、そっとそれに触れた。


「……手作りだから」

「えっ?」

「毎日、コレ作りに行ってた」

「ええっ⁈ 」


「森永は、なんか勝手にくっ付いて来てただけ」

琉の言葉に、愛里咲はヘナヘナと力が抜けていく気がした。

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