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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
「愛里咲!」

自身の身支度を整え、琉は愛里咲の身体を強く揺さぶった。

「………んー?」

呑気な愛里咲の声に、琉はため息を吐いた。


「完全遅刻! 俺は先に行くからな!」

「え⁉︎ 」

ガバッ…愛里咲が飛び起きたのを確認して、琉はダッシュで家を飛び出した。


「ええっ⁉︎ 琉ちゃん⁈ 」

半泣きで琉を見送った愛里咲も、大慌てで身支度を始める。

(昨日は、琉ちゃんが遅くまであんな事するからぁ‼︎ )

昨晩を思い出し、愛里咲は心の中で琉を詰る。


式場から届いたハガキ。

指定された2日のうちのどちらかで予約を取れば、無料でディナーが食べられるというもの。

それに行きたいと言ったが為に、昨晩は遅くまで琉に身体を委ねるハメになった。


(結局、ディナーに行ってくれるかもわからないよ。ヤられ損⁉︎ )

着替えを済ませた愛里咲は玄関へと走る。


「─────…!」

靴箱の上に、式場からのハガキ。
そして、琉の字のメモ書きが貼り付けられていた。


”前半の日で予約取っといて”

愛里咲は口元を綻ばせ、会社へと駆け出した。

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