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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
「琉くんと一緒ならどこだって楽しめるでしょ? 結婚式の日はそのまま式場のホテルに泊まってさ、次の日にテーマパーク行こうよ!」

「あはは…琉ちゃんに聞いてみます」

「琉くんには栄都がOK貰ってるから!」


キラキラと目を輝かせてそう言う根岸の言葉は、一見”お誘い”のようだが既にほぼ決定事項のようだ。

愛里咲は紅茶でため息を飲み込んだ。



「お姉さん方っ、同席してもいいですかぁ?」

隣り合って座る愛里咲と根岸の後ろから、ふざけた調子の声が掛けられる。

「こう見えて、うちら2人人妻でぇす」

根岸は振り返りもせずにそう答えると、残り少なくなったケーキにフォークを刺した。


「うーん、余計萌える!」

「根岸さん、まだ人妻じゃないじゃん」

途端に、後ろからは聞き覚えのある声が聞こえた。


「は? 栄都⁈ 」

「琉ちゃんっ⁈ 」

驚いて振り返った愛里咲と根岸の後ろには、したり顔の佐藤と、明らかに面倒臭そうな顔をした琉の姿があった。

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