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それぞれの後編
第10章 サディスティック・マリッジ〜第五章・秋〜【前進するために…】
「芽衣がナンパされたらどうしようかと心配で…来ちゃった」

ケーキとコーヒーをお盆に載せた佐藤が根岸の隣に座る。
愛里咲は、向かいの席に座った琉の隣へと席を移った。


「栄都はともかく、琉くんて意外と心配症?」

「佐藤さんに無理矢理連れて来られたんだよ」

根岸の言葉にそう即答する琉。


(……たまには佐藤さんみたいに分かりやすく妬いて欲しい)

愛里咲は唇を尖らせて琉を見つめた。


「ワンピース、いいのあった? 見せてっ」

佐藤が根岸の買い物袋へと手を伸ばす。

パシッと振り払われる佐藤の手。

「ダメ! 栄都も琉くんも、当日まで楽しみにしててね」


「え? 琉ちゃんも?」

悪戯っぽく笑う根岸に、戸惑う愛里咲。


「……どうでもいい」

ボソッと呟いた琉の言葉に、愛里咲は益々唇を尖らせていた。

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