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それぞれの後編
第11章 サディスティック・マリッジ〜第六章・秋〜【ドキドキディナー】
式場は、電車で一駅分向こうにある。

他の交通手段がない訳ではないが、今日は電車で行く事にしていた。


「行くぞ」

電車が駅に滑り込むと、琉が愛里咲の手を取る。

繋がれた手に、愛里咲の心臓はドキドキと高鳴った。


平日の、帰宅ラッシュの時間帯。電車内はかなり混み合っている。

「あ……‼︎ 」

人の波に押されて繋いだ手が離れてしまい、愛里咲は小さな声を上げた。


2人分置いた斜め向かいに琉が留まる。

「………?」

口をパクパク動かし、琉が愛里咲に何かを告げる。

”バーカ”

「なっ…‼︎ 」

必死に読み取った琉の口の動き。

伝わったとわかれば、琉はそっぽを向いてしまう。

愛里咲は唇を尖らせ、顔を背けた。


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