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それぞれの後編
第11章 サディスティック・マリッジ〜第六章・秋〜【ドキドキディナー】
食事を終えて、外へ出る。

秋も深まり、夜ともなるとかなり肌寒い。

「綺麗……」

寒さなど気にする様子もなく、チャペルやその周辺に灯されたイルミネーションに魅入っている愛里咲。

その姿に、琉はフッと笑った。


「愛里咲、帰るぞ」

薄いボレロ1枚では寒いだろうと、琉は愛里咲の肩に自分の上着を掛けた。

「…ありがと」

振り返って微笑む愛里咲。

その唇に、琉の唇が軽く重ねられる。


「あの時、言ってくれた言葉…もう一度聞きたい」

歩き出す琉を引き止めるかのように、愛里咲はワイシャツの袖を引く。

そして、熱っぽく潤んだ瞳で琉を見上げた。


「あの時?」

「うん。結婚式の日に、控え室で…」

「……覚えてない」


愛里咲が望む言葉はわかっている。

でも、琉の性格上そう安々とは言えない。

互いが互いのそれを理解している。

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