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それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
「まぁ、そう警戒せず…とりあえず開けてごらん」

副社長は優しく微笑んだ…つもりなのだろう。

だけど、普段から悪魔の笑みを見ている愛里咲には、その笑顔の裏がハッキリと伝わってしまう。


「……ん?」

笑顔で首を傾げる副社長。そのたった一音からヒシヒシと伝わる圧力に耐え切れず、愛里咲は短く息を吐くと、意を決し、その包みを解いた。


「これ…は……?」

見慣れた…いや、慣らされたというべきか。男性のそれを模したオトナのオモチャ。

いつもの ”それ” と違うのは、

「ベルト……?」

それを固定するように、黒いベルトが付いている。


……なんの為に?と、愛里咲は首を傾げる。

そんな愛里咲の様子を見た副社長の口元が意地悪く歪んだ。


「これはね、キミの腰に付けるベルトだよ」

「え?どういう…っ!」

その使途をうっかり聞き掛けて、愛里咲は慌てて口を噤んだ。

これ以上聞いてしまえば本当に返品不可になってしまう!と、愛里咲は解いた包みを戻し始める。


「あの!あのあの!折角ですけど、やっぱりこれは…っ」

戴けません!と叫ぶ前に、

「それがあればね、キミが夏川くんを調教出来るんだ」

副社長の歪んだ口元から、恐ろしい言葉が告げられる。


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