この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
「副社長直々に、愛里咲に仕事の依頼ですか?」
「ああ。夏川くんにも手伝ってもらわなくてはならない ”仕事” だよ」
琉も、副社長も、笑顔だけど、目が笑っていない。互いを牽制し、探るような視線は、どちらも劣らない。
その間に挟まれる愛里咲は、2人から発せられるピリピリした空気に身を竦めていた。
「夏川くんへの説明はキミに任せるよ。報告書、楽しみにしてるよ」
ポン…と、副社長が愛里咲の肩を叩けば、驚きと恐怖に、大袈裟なくらいその肩が跳ね上がる。
その様子に小さな笑いを零し、副社長は愛里咲だけに聞こえるようにそっと耳打ちした。
「夏川くんがどれ程キミを想っているか……その愛の深さを、知りたいだろ?」
「……っ……!」
バッと顔を上げた愛里咲。琉の怪訝な視線が愛里咲と副社長に交互に向けられる。
そんな琉の鋭い視線すら副社長は笑顔で受け止めて、愛里咲と琉の肩をポンポンと叩きエレベーターを出て行った。
(琉ちゃんの…愛の…深さ……)
琉からの睨むような視線にも気付かないくらい、愛里咲の頭の中は副社長の言葉でいっぱいだ。
結婚式から数日。
あの時の感動は昨日のことのように思い出せる。
それでも……
それでも、もう一度。琉の口からあの時の言葉を聞きたい。
押し留めていた想いが、副社長の言葉を聞いて溢れ出す。
(本当に……”これ” を使えば、確かめられる……?)
慌てて包み直したせいか、不恰好になってしまった漆黒の贈り物。愛里咲はその包みを掴む手の力をギュッと強めた。
「ああ。夏川くんにも手伝ってもらわなくてはならない ”仕事” だよ」
琉も、副社長も、笑顔だけど、目が笑っていない。互いを牽制し、探るような視線は、どちらも劣らない。
その間に挟まれる愛里咲は、2人から発せられるピリピリした空気に身を竦めていた。
「夏川くんへの説明はキミに任せるよ。報告書、楽しみにしてるよ」
ポン…と、副社長が愛里咲の肩を叩けば、驚きと恐怖に、大袈裟なくらいその肩が跳ね上がる。
その様子に小さな笑いを零し、副社長は愛里咲だけに聞こえるようにそっと耳打ちした。
「夏川くんがどれ程キミを想っているか……その愛の深さを、知りたいだろ?」
「……っ……!」
バッと顔を上げた愛里咲。琉の怪訝な視線が愛里咲と副社長に交互に向けられる。
そんな琉の鋭い視線すら副社長は笑顔で受け止めて、愛里咲と琉の肩をポンポンと叩きエレベーターを出て行った。
(琉ちゃんの…愛の…深さ……)
琉からの睨むような視線にも気付かないくらい、愛里咲の頭の中は副社長の言葉でいっぱいだ。
結婚式から数日。
あの時の感動は昨日のことのように思い出せる。
それでも……
それでも、もう一度。琉の口からあの時の言葉を聞きたい。
押し留めていた想いが、副社長の言葉を聞いて溢れ出す。
(本当に……”これ” を使えば、確かめられる……?)
慌てて包み直したせいか、不恰好になってしまった漆黒の贈り物。愛里咲はその包みを掴む手の力をギュッと強めた。