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それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
「……先戻ってる」
いつからいたのか……多分、エレベーターがこの階に着いた時からいたのだろう。
琉の仕事のペアである佐藤が気まずそうに2人を見遣り、上に向かうエレベーターへと乗り込む。
琉がペコッと頭を下げれば、気にするなという意味なのか佐藤は小さな身振りで片手を上げて返した。
ドアが閉まり、エレベーターは上へと向かう。その様を黙って見送っていた琉が、ようやく愛里咲をその腕の中から解放し、口を開いた。
「何で副社長と二人でいるんだよ」
不機嫌な声色。愛里咲はビクッと身体を硬くする。
「たまたま!たまたまエレベーターで一緒になったの!」
本当のことなのだが、ご機嫌取りに必死な声が裏返ってしまう。
「あっそ」
短い返事の後、逃げようとする愛里咲の腕を琉は強く引き寄せた。
「……頼まれた仕事って?」
ビクッと揺れた肩を誤魔化すように、愛里咲は軽く肩を回す。
引き寄せられた腕を引き戻しながら、愛想笑いを浮かべた愛里咲は、ジリジリと後ずさるように琉との間を空けていった。
「いっ⁉︎ やっ、その…別に…手伝ってもらう程の仕事では……ない……です」
「手伝うかどうかは内容聞いて俺が決める。言えよ」
少し開いた間も、琉の冷たい口調と鋭い視線にあっという間に詰め寄られてしまう。
「うぇっ⁉︎ 内容…って…そんなの、ないよぉ…なぁんて……」
苦し紛れの言葉に返されたのは冷たい視線。だけど一瞬だけ琉の腕は力が緩み、その隙に腕を振り払う。
「え、営業部に届け物があるので!失礼します!」
背中に、振り返るのも恐ろしいほどの視線を浴びながら、愛里咲は一目散に駆け出した。
いつからいたのか……多分、エレベーターがこの階に着いた時からいたのだろう。
琉の仕事のペアである佐藤が気まずそうに2人を見遣り、上に向かうエレベーターへと乗り込む。
琉がペコッと頭を下げれば、気にするなという意味なのか佐藤は小さな身振りで片手を上げて返した。
ドアが閉まり、エレベーターは上へと向かう。その様を黙って見送っていた琉が、ようやく愛里咲をその腕の中から解放し、口を開いた。
「何で副社長と二人でいるんだよ」
不機嫌な声色。愛里咲はビクッと身体を硬くする。
「たまたま!たまたまエレベーターで一緒になったの!」
本当のことなのだが、ご機嫌取りに必死な声が裏返ってしまう。
「あっそ」
短い返事の後、逃げようとする愛里咲の腕を琉は強く引き寄せた。
「……頼まれた仕事って?」
ビクッと揺れた肩を誤魔化すように、愛里咲は軽く肩を回す。
引き寄せられた腕を引き戻しながら、愛想笑いを浮かべた愛里咲は、ジリジリと後ずさるように琉との間を空けていった。
「いっ⁉︎ やっ、その…別に…手伝ってもらう程の仕事では……ない……です」
「手伝うかどうかは内容聞いて俺が決める。言えよ」
少し開いた間も、琉の冷たい口調と鋭い視線にあっという間に詰め寄られてしまう。
「うぇっ⁉︎ 内容…って…そんなの、ないよぉ…なぁんて……」
苦し紛れの言葉に返されたのは冷たい視線。だけど一瞬だけ琉の腕は力が緩み、その隙に腕を振り払う。
「え、営業部に届け物があるので!失礼します!」
背中に、振り返るのも恐ろしいほどの視線を浴びながら、愛里咲は一目散に駆け出した。