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それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
届け物があったのは事実だ。
それを届けたらそのまま帰っていいと、そう言われていた。
だが、
「ねっ!根岸さん!」
更衣室へと入ってきた根岸の腕をガシッと捕まえる。
「愛里咲?帰ったんじゃなかったの⁉︎ 」
驚き顔の根岸に、愛里咲は副社長から渡された漆黒の包みを差し出した。
「ささ佐藤さんと、素敵な時間を…」
「……いらない」
愛里咲の動揺具合にその中身を察したのか、根岸はバッサリと切り捨てる。
絶対受け取らない根岸。半泣きでお願いしながらそれを押し付けようとする愛里咲。
更衣室の入口で繰り広げられるその光景を、何人もの女子社員が冷たい視線を浴びせながら出入りする。
「根岸さぁん!お願いしますぅ!」
「ここまでされると恐怖しかない。本当に絶対嫌!」
何度目かのそのやり取りの後、
「何やってんの?」
「まだ残ってたんだ」
聞き慣れた声に、愛里咲と根岸はハッとして振り返った。
「せっかく早く上がらせてやったのに、何やってんの?」
冷たく目を細める坂本と、
「愛里咲、まだ残ってたの?営業部におつかいは?済んだ?」
小さい子に対する口振りな松田。
愛里咲と根岸にとって、仕事でも人生でも女としても先輩な2人。
安心感からか、愛里咲の瞳からはドバッと涙が零れ落ちた。
それを届けたらそのまま帰っていいと、そう言われていた。
だが、
「ねっ!根岸さん!」
更衣室へと入ってきた根岸の腕をガシッと捕まえる。
「愛里咲?帰ったんじゃなかったの⁉︎ 」
驚き顔の根岸に、愛里咲は副社長から渡された漆黒の包みを差し出した。
「ささ佐藤さんと、素敵な時間を…」
「……いらない」
愛里咲の動揺具合にその中身を察したのか、根岸はバッサリと切り捨てる。
絶対受け取らない根岸。半泣きでお願いしながらそれを押し付けようとする愛里咲。
更衣室の入口で繰り広げられるその光景を、何人もの女子社員が冷たい視線を浴びせながら出入りする。
「根岸さぁん!お願いしますぅ!」
「ここまでされると恐怖しかない。本当に絶対嫌!」
何度目かのそのやり取りの後、
「何やってんの?」
「まだ残ってたんだ」
聞き慣れた声に、愛里咲と根岸はハッとして振り返った。
「せっかく早く上がらせてやったのに、何やってんの?」
冷たく目を細める坂本と、
「愛里咲、まだ残ってたの?営業部におつかいは?済んだ?」
小さい子に対する口振りな松田。
愛里咲と根岸にとって、仕事でも人生でも女としても先輩な2人。
安心感からか、愛里咲の瞳からはドバッと涙が零れ落ちた。