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それぞれの後編
第20章 サディスティック・マリッジ【あとがきのあと】
大きく見開いた愛里咲の瞳が、ゆっくり…ゆったり…蕩けていく。

「は…っ…あぁ…ンッ、琉ちゃ……っ」

声を上げることすら忘れていた唇が、甘やかに琉の名を呼ぶ。

動き出した愛里咲の身体は、急速に琉を貪り出し、琉は眉根をキツくキツく寄せて耐えていた。


「琉ちゃ、ンッ……好き……琉ちゃんの全部、欲しい……」

まるで泣いているかのような顔で、愛里咲が琉を見上げる。その表情は琉を駆り立てるのには充分過ぎるほどで、愛里咲の中に包まれた自身が大きくなったのがわかる。

うわ言のように琉の名を呼びながら、愛里咲は琉の左手を取り、大切そうに両手で包み頬へと擦り寄せる。

何をする気なのかと答えを探す琉に笑みを向けると、愛里咲は琉の薬指にそっと唇を寄せた。

チュ…と、先程の琉を真似て、愛里咲は琉のマリッジリングへと口付ける。

それを繰り返すたび艶を増していく愛里咲に、堪らず、琉は腰を突き上げた。


「───ッああ!」

大きく声を上げて、愛里咲は縋るように琉の左手を握り締める。琉が突き上げる度、愛里咲の声は大きくなり、握る力が強くなる。

キツく閉じられた愛里咲の瞳から、新たな筋を作りながら溢れる涙をゆっくりと拭って、琉の手が愛里咲の頬をそっと包んだ。


「俺が欲しいんだろ?たっぷりくれてやるから、ちゃんと目ぇ開けてろよ」


琉の声と同時に聞こえた、カサッという紙の音。愛里咲が慌てて床を見れば、漆黒の紙袋が転がっている。

すぐに琉へと視線を戻せば、

「ヒィィィィィィッ‼︎ 」

その手の中のものを見て、愛里咲は顔を強張らせ悲鳴を上げた。


───それは、

愛里咲の蜜のようにトロトロしていて、

愛里咲の蜜のように琉の欲を昂ぶらせるもの。

そして、2人の熱を高めるもの。

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