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それぞれの後編
第21章 青天の霹靂
「琉ちゃん!帰ろ!」

琉ちゃんの腕を強く引いて歩き出せば、後ろから先生の落胆の声が追いかけてくる。

やっぱり……やっぱりこんなモテ男と付き合うの、大変かもしれない!

だから───……



「お前さ、将来の夢とかねぇの?」

薄暗い教室。居残りの私を詰る琉ちゃん。

琉ちゃんと付き合い始めて1ヶ月。最近では、私の前とみんなの前での彼のギャップにも動じなくなった。


「将来の夢を書けなんて宿題じゃないでしょ!」

高校二年生。遊んでばかりはいられない時期。進学か就職か、それに向けて周りも動き出してる。

そんな時期だからか、作文のテーマは『社会人になった自分への手紙』進路に揺れる私にとってはなかなか厳しいテーマだ。

案の定、授業中に書き切れず、こうして居残りさせられる羽目になっていた。


「適当に書けばいいだろ。面倒臭いヤツだな」

そういう琉ちゃんは授業中に書き終えてしまったらしい。きっと適当に書いたんだ!

1人減りまた1人減りと居残り組で取り残されたのは私だけ。こうなると、普段ニコニコと笑顔を絶やさない琉ちゃんは意地悪に豹変する。


「じゃあさ!琉ちゃんは何て書いたの⁉︎ 」

「仕事頑張れよってエール送っといた」 

「それだけ⁉︎ それで原稿用紙3枚いくの⁉︎ 」

「いろんなもん適当に繋げばいいだろ。後は……ひらがなばっかで書くとか」

「……絶対やり直しさせられるじゃん。他人事だと思って……」


はぁー……作文苦手なのに、テーマが微妙過ぎて辛過ぎる。

まだ1枚目の半分をようやく過ぎたところ。琉ちゃんに呆れられるのも……頷ける遅さ。


「琉ちゃんの将来の夢って何?」

何気なく聞いただけなのに、

「はぁ〜⁉︎ お前、小学生かよ⁉︎ 」

ものっすごい馬鹿にされた。


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