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それぞれの後編
第6章 サディスティック・マリッジ〜第一章・春〜【新入社員】
松田が保冷剤をもらってきてくれ、タオルの上から琉の腕を冷やした。

「佐藤さんは掛らなかったですか?」

琉の腕を冷やしながら、隣でしょげている佐藤に愛里咲が尋ねる。

「ああ、うん」

「よかった」

佐藤が頷き、愛里咲は安心したのか笑顔を見せた。

その後、琉に視線を戻す愛里咲。
捲り上げたワイシャツの、茶色く染まった袖を見て驚いて大きな声を出した。

「わぁっ! 琉ちゃん早く脱いで! シミになるっ」

「お前な…俺よりワイシャツのシミの心配かよ」

「え? 違っ……」

そんな2人のやり取りを見ていた摩美が動いた。

「琉先輩っ、大丈夫ですか?」

愛里咲の手を退かし、琉の腕を冷やす。
上目遣いで琉を見上げる摩美。

「……お前は、頭冷やせば?」

そう言うと琉は摩美の頭に保冷剤を置いた。

パサッ
頭からワイシャツを掛けられ、愛里咲は慌てて顔を出す。

Tシャツ姿の琉は着替えをしに更衣室へと歩いていた。


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