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第1章 　出逢い

（2）
佑貴をタクシーに乗せ送り出すと自分もタクシーに乗った。
そして、自宅のある川崎市の高津へと車を向かわせたのである。

自宅には深夜1時ころに着いた。
アパートの階段を上り3階まで行き部屋の鍵を出して扉を開けた。

すると、千佳が飼っている2匹の猫が出迎えた。
「お帰りにゃ～。遅かったにゃ～」

と、言っている様であった。
千佳は自分の鳴りやまないスマホをバッグから出した。

「もしもし…」
「俺だけど、何で電話に出ないんだよ!!何度も電話したんだぞ!!」

「あぁ、ごめんなさい…飲んでたから…」
「福山と飲んでたのか？」

「そうよ…」
「やっぱり…」

電話の相手とは今現在付き合っていた男性である。
その人の名前は吉田浩史といった。

年齢は千佳よりも3歳年上であった。

付き合い始めてかれこれ1年くらいになっていたが、最近二人の関係も危ない状態であった。

この頃、千佳は某大手電機メーカーに派遣で働いていた。
その派遣先の上司で主任だったのが吉田だったのだ。