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郁と悠(もうひとつの物語)
第1章 告白
ある日、たくさんのスタンプが続き、すべてキャラクターが土下座していました。それは郁が告白された日でした。そして郁は返信で、そんなに謝らないでと、慰めていました。郁はそこから、僕のことをメールに書き込んでいました。

「だって、悠が教えて欲しいって」
「なんで?」
「旦那さんみたいになりたいって」
「…?」
「あたしを奥さんにできる人になりたいって」
確かにその頃のメールは、なぜか僕のことが中心でした。郁は僕のことを、ちょっと茶化しながら、愛していることがわかるよう、メッセージを送っていました。

「お兄、その頃くしゃみしなかった?」
郁が笑顔で言いました。僕も笑顔で、郁の頭を撫でてやりました。そして姉弟の関係は、告白を境にすこしずつ変わりました。

『お弁当、美味しかったです!』
メールにそうありました。そこには郁と悠の、ツーショットが添付されていました。

「うん、初めてお弁当作ってあげた時ね」
そこには感謝の言葉が綴られていました。飲み会で独り暮らしの悠の食生活が話題になり、郁が「姉」として責められた頃でした。

「悠、優しいからオバちゃんたちに人気があるのw」
「なんで郁が責められるの?」
「だってお姉ちゃんだもんw」
ふたりの仲の良さはお店で有名でした。決して嫌な雰囲気ではない、温かな視線がふたりに注がれていました。お弁当を嬉しそうに食べる悠の姿を見て、郁は胸がときめきました。

「その時、悠のこと…もっと好きになった」
僕は動揺を笑顔で誤魔化しながら、メールを見続けました。郁はすこし怒ったふりで僕を見ています。

「お兄のせいだよ…いつも、あたしを唆してた」
「うん、わかってる…郁は悪くないよ」
「悠も…」
「うん。悠も悪くない…」
郁は僕の言葉に安心した顔を見せました。そして次のメールは刺激的でした。

『もしかして弟、お姉のパンツ見た?』
『(はあと)郁お姉様、カワイイ(はあと)』
『やっぱ見たか、弟!(はずかし)』
ベーカリーで郁がサンタに扮していたとき、小さな男の子にスカートを捲られたことがありました。そして郁のショーツが目の前にいた悠トナカイに丸見えになりました。

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