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ダンシング・クィーン
第11章 康子

 約束の日

都内で 何時ものパンツからスカートに履き替えた
康子は栄治とお昼を食べ 近くの公園に 
栄治を見て 康子が月曜の事を話すと

「 大丈夫です何でもありませんから 」 

「 康子さんとの時間は早いですね 」
残念そうに話して 栄治は話を終わらせ
駅で別れ 康子は背中に栄治の視線を
何時までも 感じていた

泰三は帰ると 康子に

「 今日は ? 」妻の顔を見ながら聞くと 

「 何時もの パートよ何で? 」
泰三に ビールを出して来る

栄治の事を知らなければ普段通り 自然に見える
思いなしか 康子が綺麗に見え 髪形も少し変わった様に感じ 
心が揺れ

夜康子に 栄治からラインが届き 

・・今日は 楽しかったです・・
とラインが 

・・お休みなさい・・
返し 康子は携帯を握りしめ 天井を見つめ続けていた

翌週栄治から
 
お昼に 映画と誘われたラインを見た時
康子は 返事を躊躇して 携帯を握り絞め
一度は 断ろうとラインを 打ち始め・・・
映画に行く位・・・ 

・・・何でも 無い・・

心を偽り 約束を打ち込み
胸の中の 疼く様な 光を
ただ 感じて それ以上は・・・
首を振り 

・・・・ありえない・・・

否定と期待に 心を揺らせ    

 仕事を休み 


二人で映画館に入った 何年振りか 心が浮き浮きするのは 
映画館に入り 二人並んでポップコーンを摘まんでいる時 
手が触れあい 栄治が康子の手に手を重ねてきた
康子は手を返し握り返す 

暗い映画館の中 栄治の手の暖かさに 
心が奪われ始め 上映が終わり少し歩きませんか?
栄治が手を握り 顔を見て来た 頷いて 
二人で近くの公園を手を繋ぎ 
今読んでいる 本の話をしながら
栄治の大きな手の暖かさに ときめく康子だった

・・泰三に・・・

・・康子と手を繋ぎ 公園を歩いたと・・ 

ラインが届いた

帰宅して康子に

「 今日もパート お疲れ 」
と労うと 

黙って頷き 鏡に向かい余念が無い 
浴室に消え ベッドに携帯を持ち
康子は入って行った

寝室へ入って行く 康子の後ろ姿に 心が揺れ
黒い塊が心を覆い 去って行こうとする妻に
焦燥感を 嫉妬を 叫びたい気持ちを
目の前のビールで 飲み込んだ

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