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Love triangle +1
第5章 塁
「返事だけは、貰っておいてもいい?」

一週間前の緊張が甦る。
深呼吸を繰り返し、塁は恋人に申し込む。

「贅沢な生活をさせてあげられる程の甲斐性は正直ない。生涯真理愛だけを愛して、誰よりも大切にする。真理愛を泣かせたり悲しませたりするような何かは絶対しない。誠実さしか、胸を張れるものはないけれど。……でも、幸せにしたいって思った。一緒に幸せになりたいって思った。真理愛と結婚したい。俺と、結婚して下さい」

二度目のプロポーズは、二倍嬉しかった。
返事をしたら、もう後戻りは出来ない。
彼を哀しませる結果には、絶対出来ない。
今更のように逡巡しながら、この想いに報いたいと真理愛は覚悟した。

「……はい」

零れ落ちる涙もそのままに、真理愛は塁にぎゅっとしがみ付いた。
異変に気付いた塁が心配そうに窺ってくる。

「真理愛、ひょっとして泣いてる?」
「嬉し泣き」
「嬉しいの?」
「嬉しいよ。決まってるじゃない」
「そっか。俺も嬉しい。安心した」

風のない海のように穏やかで、どこまでも広い彼の優しさ。
それに癒され、勇気づけられ、真理愛は口を開く。

「塁にお願いがあるの」
「お願い?」
「私はとっくに塁のものだけど、本当の意味での塁だけのものになりたいの」
──今夜、私を抱いて欲しい。

真理愛が希求すれば塁の小さく息を呑む音がし、手の動きが完全に止まった。









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