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Autamoon(秋月夜)
第9章 料理の旨い男
 ①

 出張の夜…

 わたしは大抵、その泊まっているホテルのバーで飲む。

 それがわたしの出張の夜のルーティン…

 そして気が向けば…

 たまにはつまみ食いをする…

 いや、される…

 そしてやはり…

 その土地、土地なりに色々な味があり、わたしはそれを楽しんでもいる…

 そして今夜も…バーに繰り出していた…


「ほらぁ、やっぱりさぁ、料理人ってのはアレが上手いんだよ」
 カウンターで飲んでいる二人の男の、そんな会話をしているのが聞こえてきた。

 決して大きい声での会話ではないのだが、やはり、静かなバーであるから、意外とよく聞こえてくるのだ…

「そうなんですか?」
 すると相方の男がそう返す。

「そうだよ、ほら、あの有名女優の不倫騒動、あれが正にそうじゃん」

「ああ、あの女優の…」

「そう、ほら、あの相手の男、まるでクマみてぇだし、俺みてぇにゴツいじゃん…」
 そう笑いながら言う。





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