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Autamoon(秋月夜)
第9章 料理の旨い男
②
決して大きい声での会話ではないのだが、やはり、静かなバーであるから、意外とよく聞こえてくるのだ…
「そうなんですか?」
「そうだよ、ほら、あの有名女優の不倫騒動、あれが正にそうじゃん」
「ああ、あの女優の…」
「そう、ほら、あの相手の男、まるでクマみてぇだし、俺みてぇにゴツいじゃん」
「あ、まあ、そうですね」
「そうよ、あの見た目からはさぁ、まるであの美しい女優との関係なんて想像もつかないじゃんかぁ」
「あ、はい、確かに…」
「ましてやあの女優の旦那は『ろうそく…』っていう位の超美形じゃん、あれが、あのクマみてぇな奴に取られちまったんだぜぇ」
「そうですね」
「それはあのクマシェフが、アッチが上手いからなんだよ」
「そ、そうなんですかねぇ…」
「そうよ、やっぱりシェフ、料理人ってのはよ、料理するっていうくらいだから、アレも上手なんだよ」
「なんか、すごい屁理屈に聞こえちゃうんですけど…」
「いや、違うよ、ほら、よくさぁ、セックスは『女を料理する』って云うじゃんか」
「あ、なんとなく訊いた事ありますけど…」
「ほら、一流料理人になればなる程、素材、つまり、女性を美味しくするワザとアレンジが得意、上手なんだよ…」
「そんなもんなんですかねぇ…」
「そうだよ、ま、俺もそうだし…」
「いや、俺なんてまだまだですよぉ…」
…と、二人で盛り上がっているのが聞こえてきていた。
わたしはさり気なく、そんな二人の男を一瞥する…
話しを聞いている男は一見地味で、会話でもあまりその手の関係には興味の無い感じのする男であった。
だが、得意気に盛んに話しをしていた方は正に精力的な雰囲気のある感じであり、話しの途中からはカウンターのわたしの存在に気付き、チラチラと見てくる位の艶気のある男であったのだ。
「そろそろ戻りましょうか」
「いや、俺は後一杯飲んでいくよ」
そう言って艶気のある男は残る。
下心が伝わってきた…
だが、わたしは悪い気はしていない、正にワンナイトの相手には良いかも…
そう考えていた。
「一杯奢らせてくれるかな?」
すると、さっそく男が声を掛けてくる。
しみじみと男を見ると、さっきの話しではないが、元格闘技系か、もしかしたらラガーマン系か、位なゴツい体格をした男であった…
決して嫌いなタイプではない…
決して大きい声での会話ではないのだが、やはり、静かなバーであるから、意外とよく聞こえてくるのだ…
「そうなんですか?」
「そうだよ、ほら、あの有名女優の不倫騒動、あれが正にそうじゃん」
「ああ、あの女優の…」
「そう、ほら、あの相手の男、まるでクマみてぇだし、俺みてぇにゴツいじゃん」
「あ、まあ、そうですね」
「そうよ、あの見た目からはさぁ、まるであの美しい女優との関係なんて想像もつかないじゃんかぁ」
「あ、はい、確かに…」
「ましてやあの女優の旦那は『ろうそく…』っていう位の超美形じゃん、あれが、あのクマみてぇな奴に取られちまったんだぜぇ」
「そうですね」
「それはあのクマシェフが、アッチが上手いからなんだよ」
「そ、そうなんですかねぇ…」
「そうよ、やっぱりシェフ、料理人ってのはよ、料理するっていうくらいだから、アレも上手なんだよ」
「なんか、すごい屁理屈に聞こえちゃうんですけど…」
「いや、違うよ、ほら、よくさぁ、セックスは『女を料理する』って云うじゃんか」
「あ、なんとなく訊いた事ありますけど…」
「ほら、一流料理人になればなる程、素材、つまり、女性を美味しくするワザとアレンジが得意、上手なんだよ…」
「そんなもんなんですかねぇ…」
「そうだよ、ま、俺もそうだし…」
「いや、俺なんてまだまだですよぉ…」
…と、二人で盛り上がっているのが聞こえてきていた。
わたしはさり気なく、そんな二人の男を一瞥する…
話しを聞いている男は一見地味で、会話でもあまりその手の関係には興味の無い感じのする男であった。
だが、得意気に盛んに話しをしていた方は正に精力的な雰囲気のある感じであり、話しの途中からはカウンターのわたしの存在に気付き、チラチラと見てくる位の艶気のある男であったのだ。
「そろそろ戻りましょうか」
「いや、俺は後一杯飲んでいくよ」
そう言って艶気のある男は残る。
下心が伝わってきた…
だが、わたしは悪い気はしていない、正にワンナイトの相手には良いかも…
そう考えていた。
「一杯奢らせてくれるかな?」
すると、さっそく男が声を掛けてくる。
しみじみと男を見ると、さっきの話しではないが、元格闘技系か、もしかしたらラガーマン系か、位なゴツい体格をした男であった…
決して嫌いなタイプではない…